http://kaibunjyuku.mu-sashi.com/
アマリリスときめきの侭忘れ得ず 花言葉は誇り・おしゃべり・美 |
帆待田の畔大仰に草を刈る 帆待田=へそくり田 |
身の程を知らねば切れる蜘蛛の糸 「欲をかけば地獄へ落ちる」の教訓 |
父の遺影微笑み返す額紫陽花 *明治天皇小憩記念碑のある庭には紫陽花・ 躑躅など季節の花が絶えなかった。 |
甘酒を冷して犬と分け合えり 藤すだれ眼下に翳む鄙び宿 *流石に熱燗では犬も飲まない *車も入れぬ秘湯宿、客は予約制 |
|
街騒に慄然たりし花葵 *葵の花は背丈が2mにもなるので 誇らしいように咲くのがいい |
昼寝です救急車など呼ばないで *80歳過ぎたらベンチで昼寝は辞めよう 通行人が救急車 呼んだらお笑い種よ |
梅雨晴れて腰伸ばしたる過疎部落 *田舎は年々過疎化が進むが最近は都会を 捨てて田舎暮しを望む輩も多いとか |
ぶら下る蝙蝠逹谷崫守る *坂上田村麿とアテルイの戦場の 地、平泉の観光地の目玉でもある |
令和てふ元号に棲む天道虫 *令和が平静を上回る元号なのかはしらぬ。 されどわが身は自分で守る。 |
水飲んで皐月の喫茶店の隅 →みすのんてさつきのきっさてんのすみ← (回文です) |
古城吹く松に絡まる蛇の衣 *古城と言うからには文化財指定の城か 蛇は城の守り神かも知れない |
黄昏の闇を窺ふ蛇苺 *見るからにきれいな苺だが、毒々しい色が 禍し蛇の名を冠する哀しさ |
芋虫の天然被災不明羽化 *原発事故で羽化した妖虫、名前は知らない |
麦秋の端手にに光る風力計 *原子力発電で被災し風力に頼っても 日本の消費量には追い付けない、 |
在りし日の妣かと紛ふ藤の揺れ *お藤さんが星となって三十年が経つ おれが逝く迄達者でな |
雨の夜は光羅潜めし金亀虫 *黄金虫は金持ちだと言うが家では子が 腹減ったと寝てしまう (子が眠し) |
万緑に鎮もる切妻屋根の黙 *人間は面白い高級マンションを好み つつ古代に憧れるこれを狂愁と言う |
洗鯉片肌脱ぎし大胡坐 *魚相手の海の男も洗鯉には目が無い ようだ帰るなり諸肌脱いで大酒盛り |
常緑杉の気こころ橋の町 *わが故郷は杉の町、橋までが杉で出来て いて「きごころ橋」とはいきなこと |
梅 雨 寒 の 傘 白々と 街の黙 天気予報は「晴」だったので傘を持たずに 出たが結局駅で白い傘を買う羽目になった。 カサねカサね 誰にもカサねぇぞ! |
座して先ず熱きおしぼり夏料理 ・冷たいお絞りは顔に当てた瞬間は気分が いいが、直ぐに汗になって帰ってくる 暑い時程暑いおおしぼりは汗を沈めて 爽やかさをもたらす。 |
峪望む愁眉を隠す夏帽子 ・失恋でもないだろうが夏帽子と言えども 黒なのが気にかかる。いや、哀愁が漂う 清楚な感じにもみえる。そうに違いない。 |
南風吹く旅にほど良き波頭 浮世絵を借りての句だが夏の盛りに 潮風に吹かれながらの船旅は至福の 歓びがある。 |
黒南風にこころ曇らす鉢の魚(トト) この金魚はガラス鉢に描かれた工房 の一品である。焔と微妙なガラスの ゆがみを利用しての技は見事なり。 |
まだ恋を知らぬ子供の水鉄砲 誰にもこんな時代があったのにあの純粋さは どこにいってしまったのたのだろう。 |
神室嶺ゆ湧く水清き夏の川 ♪ 神室の峰に湧く雲が 金山側に流れきて ♪ |
涼しさや風なり何故か優し鈴 これは回文になっている俳句だが、 誰も気づいてくれなかった。 |
古城吹く松に絡まる蛇の衣 もともと城の天井に棲む蛇なのだろうか。 神に仕える蛇も脱皮するとは何故か笑える。 |
釣キチの漫画片手に岩魚釣る 子供の頃に「釣キチ三平」の漫画を真似た 岩魚釣りは、漫画のようにはいかなかった |
さゆり節おはら恋唄風の盆 酔芙蓉風に靡くきて薄化粧 |
柘榴咲き南国の海偲ばする ザクロってなんとなく南国の果物のように 感じるが、実際に食べた事は一度もない |
坂の木莬滴り糺し窟の迦座 さかのつくしたたりたたしくつのかさ |
津波禍に消えし聖堂棕櫚の花 3・11の大震災で流出した聖堂の再建も間近い |
麗しや夕暮夏帯傘の中 女は夕暮・和服・後姿は綺麗に見える |
花火師の夜空に描く夢の華 一瞬の輝きが永遠の夢を残す |
無し齧る楽しきけふが有りのみと 梨を「ありの実」とは寒いこじつけだ |
黄昏の田の面を磨く秋の雷 雷光が豊作の導となる シルベ |
赤筋の密航宥す放屁虫 外来の虫には外(害)虫が多い |
長袖を天日に曝し秋の色 昨日まで暑いといってたのが 長袖を着るともうあきである。 |
三日月を置き去りにして朝焼ける 昼の月はどことなく間抜けの感があるが 三日月は捨て子のイメージかも |
可愛ゆきに離せぬ帽子暖かし 子どもはみんなかわいいが帽子は 防寒の為だけではない |
啓蟄の土盛上り歩き出す 土が歩く訳じゃない。暖気に誘われ 小動物や草木までが蠢くのだ。 |
盆火焚く小川の端に焔を預け 魂となった者が歩いてくる筈もないが 転ばぬように気配りをする人の心かいい |
引鶴や小雨烟りを渚より 小雨の渚を鶴がかえる。晴を待つ 余裕はない。定めの如く鶴は発つ |
原爆忌忘れじの鐘高らけし 周旋から74年が過ぎた。忘れては ならないが許してもいいものもある |
ぶら歩き路地に出会ひし糸瓜棚 鑑賞ようならいいが、食用には あまり歓迎したくない |
派手過ぎて近寄り難し赤い羽根 |
秋澄むや水音白き深山なる |
初鴨の未だ馴染まぬ水の嵩 |
雁渡し交わることの無き線路 |
潮騒に歩み遅々なる十三夜 |
身に入むや古井戸に月くぐもりぬ |
化野の月を擽る風薄 ・あだしの |
菊膾器の中に妣もゐて |
身に入むや記念切手の祈念欠く |
落ち鮎や流れに任す独り旅 |
秋暁や花野饒舌始まりぬ |
緑松に恥らひ咲みぬ薄紅葉 |
とろろ汁擂鉢二つ子沢山 |
夜業の火妖しく揺らぐ四囲の闇 |
望郷の果に影おく黒揚羽 |