自選 句集 面白 俳句 段 駄 羅 俳 聖 講 古木の妙 駄羅駄羅句 故郷 紀行 石巻 点描

唯々駄句駄句

一首の歌から何通りのアナグラム短歌が可能なものか

三十一文字のアナグラムは31×30=930通りあるが和歌の形を維持
しながら完成させるには何首ぐらい可能なものか暇を見て挑戦してみた

取り合えず14首詠んでみた。<愚作。秀作・読む人任せ 詠み人明日の風任せ>
(註)<百人一首は中段にあります>↓

元 歌 石川啄木
 *東海の小島の磯の白砂にわれ泣き濡れて蟹とたはむる
 ・
とうかいのこしまのいそのしらすなにわれなきぬれてかにとたはむる
アナグラム



 試 用
こんな感じで詠めば出来栄えを期待しなければ100首くらいならそう難しくもなさそうだ。
然し、この無駄な努力も評価してくれる人が居なければ〇〇に描いた餅に過ぎない無用の産物に他ならない



四月馬鹿
得意気に書く
 アナグラム


 晴の空長閑な門の筋に似る子馬啼きいて犬戯れし
 ・はれのそらのとかなかとのすしににるこうまなきいていぬたわむれし

 海棠の裾に菜の花濡れ残る無駄に別れし時今知らで
 ・かいとうのすそになのはなぬれのこるむたにわかれしときいましらて

 囲いなす吾に片時白む野は唸る能登にて島の磯濡れ
 ・かこいなすわれにかたときしらむのはうなるのとにてしまのいそぬれ

 蟹生まる磯の白砂途切れぬに貝のこの肌割れて虚しと
 ・かにうまるいそのしらすなときれぬにかいのこのはたわれてむなしと

 別れ来てどの島はたと祈れずに後悔初むる知らぬ名なのに
 ・わかれきてとのしまはたといのれすにこうかいそむるしらぬななのに

 
春来ぬと峡の村にぞ絆との美し意に痴れ撫で別れたの
 ・はるこぬとかいのむらにそきすなとのうましいにしれなてわかれたの

 浪速訪い屠蘇傾きし恋知らす蟹無うなれば乗る手呑まれぬ
 ・なにわといとそかたむきしこいしらすかにのうなれはのるてのまれぬ

 窓の外浮名儚し恋知らず変れぬ野にて無駄に祈れる
 ・まとのそとうきなはかなしこいしらすかわれぬのにてむたにいのれる

 墓石に届き添う手の悲しむに忘れぬ子らの霊のまた鳴る
 ・はかいしにとときそうてのかなしむにわすれぬこらのれいのまたなる

 鴇草の翔てぬは哀し虫の害吾祈る間に子等になれずと
 ・ときそうのたてぬはかなしむしのかいわれいのるまにこらになれすと

 晴れたる野 永久に哀しきこの惑い嘘逃れして無為に濡らすな
 ・はれたるのとわにかなしきこのまというそのかれしてむいにぬらすな

 別れじと愛いその恋に呑まれしに成すとて成らぬ青春の傾き
 ・わかれしとういそのこいにのまれしになすとてならぬはるのかたむき

 岩手から石巻訪う春なれど野々に廃れぬ名こそ昔に
 ・いわてからいしのまきとうはるなれとののにすたれぬなこそむかしに

 過去と今嘘に照らしぬ戯れの意地になる時為す野の別れ
 ・かこといまうそにてらしぬたはむれのいしになるときなすののわかれ


アナグラム百人一首
                                   ・・・・・・     ・        (ウィキペディア参照)
アナグラム (anagram) とは、言葉遊びの一つ。単語または文の中の文字をいくつか入れ替えることに
よって全く別の意味にさせる遊びである回文とは異なり、単純に考えて異なるN種類の文字列ならNの階乗
通り(例えば5文字なら120通り)の並べ替えが可能なので、意味のあるアナグラムを一瞬で見つけるのは
困難である。逆にそれだけの可能性があるため、たいていの言葉は(強引な意味づけをすることで)
アナグラムになりうる。
だが、こんなものは如何なものか。一字や2字替えただけでアナグラムを完成
させたとは言い難いだろう。
【例】
あしひきのやまとりのおのしたりおのなかなかしよをひとりかもねむ
悪しき日
の山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む
「あし
の」→「あしの」と1字替えただけのアナグラム(これは厳密に言ってアナグラムとは認め難い)

001
天智天皇

アナグラム


 
あきのたのかりほのいおのとまをあらみわかころもてはつゆにぬれつつ  

 ①蜻蛉連れ粟生も見頃に露の惑い 小川の原の香りぬ野点 
 ・あきつつれあをもみころにつゆのまといおかわのはらのかほりぬのたて

 ②あの野々にて若き子連れを目の当り湯壺貰いつ拝みぬとは
 ・あのののにてわかきこつれをまのあたりゆつぼもらいつおろがみぬとは

002
持統天皇

アナグラム


 はるすきてなつきにけらししろたえのころもほすてふあまのかくやま

 ①逢ふて直ぐ過ぎにし頃の妙の間も 遥けき城や香舗奈良で持つ
  ・あふてすくすきにしころのたえのまもはるけきしろやかほならてまつ

 ②虹照らす山の端昇ろ砂脆く天城越えして月影だぶる
 ・にしてらすやまのはのほろすなもろくあまきこえしてつきかけたふる

003
柿本人麻呂

アナグラム


 あしひきのやまとりのおのしたりおのなかなかしよをひとりかもねむ

 ①長き夜を山車の流しの一踊り 彩の間延びし胸も借りおり
 ・なかきよをたしのなかしのひとおとりあやのまのひしむねもかりおり

 ②盛岡の夜を光り来し名の遠し逢ひし大和の胸の高鳴り
 ・もりおかのよをひかりきしなのとおしあひしやまとのむねのたかなり

004
山部赤人

アナグラム


 たこのうらゆうちいててみれはしろたえのふしのたかねにゆきはふりつつ

 ①歌謡ふか笛の音揺らいで路地の雪 田の地は凍れ濁り包みて
 ・うたうたふかふえのねゆらいてろしのゆきたのちはしはれにこりつつみて

 ②富士の嶺に初雪降りて浦晴しか野の歌声だ露色立ちて
 ・ふしのみねにはつゆきふりてうらはれしかののうたこえたつゆいろたちて

005
猿丸大夫

アナグラム


 おくやまにもみしふみわけなくしかのこえきくときそあきはかなしき

 ①雉鳴かば山奥の声聴け確と 不惑ぞ憎み紅葉なき秋
 ・きしなかはやまおくのこえきけしかとふわくそにくみもみしなきあき


  ②山深き紅葉の錦濃く淡く遠き嘆きぞ儚く見えし
  ・やまふかきもみじのにしきこくあわくとおきなけきそはかなくみえし

006
中納言家持


アナグラム


 
かささきのわたせるはしにおくしものしろきをみれはよそふけにける

 ①公魚の白きに今日を馳せる酒  霜置く夜の新発田に
 ・わかさきしろきにけふをはせるさけみそれしもおくよるのしばたに

 ②雲佩きし白に烟るか潮岬その春の瀬を今朝に渡れよ
 ・くもはきししろにけふるかしおみさきそのはるのせをけさにわたれよ

007
小野小町

アナグラム


 はなのいろはうつりにけりないたつらにわかみよにふるなかめせしまに

 ①いろは歌が華の綴りと成りけらし 吾が意に魔伏せ目に何観る夜
 ・いろはうたかはなのつつりになりけらしわかいにまふせめになにみるよ

008
喜撰法師

アナグラム


 わかいおはみやこのたつみしかそすむよをうちやまとひとはいふなり

 端間近住むは人なり親とこそ 負を生み弥生海神の甲斐
 ・はしまちかすむはひとなりおやとこそふをうみやよいわたつみのかい


 ②宵祭涙霞むや産みし子ぞ母親と言ふ永久の誓ひを
 ・よいまつりなみたかすむやうみしこそははおやといふとわのちかひを

009
安倍仲麻呂

アナグラム

 
 あまのはらふりさけみれはかすかなるみかさのやまにゐてしつきかも

 ①浅香山月欠け出でし間に見れば 坂なる原の虎落伏すのみ
 
・あさかやまつきかけてしまにみれはさかなるはらのもかりふすのみ

 ②安芸の浜霜枯れの山微かなる相模は蜜にさらり更けゐて
 ・あきのはましもかれのやまかすかなるさかみはみつにさらりふけゐて

010
蝉  丸

アナグラム


 これやこのゆくもかえるもわかれてはしるもしらぬもあふさかのせき

 ①雲走る枯れても残る朝の霜 夕も還らぬ惟や関川
 ・くもはしるかれてものこるあさのしもゆふもかえらぬこれやせきかわ

 ②過去の坂逢ふも別るも残る雪晴れても似非ぬ暮しもしやれ
  ・かこのさかあふもわかるものこるゆきはれてもえせぬくらしもしやれ 

011
参 議 篁

アナグラム


 ☆わたのはらやそしまかけてこぎいでぬとひとにはつげよあまのつりぶね

 ①来ぬ人と逢はで待つ夜の島影果て 薗田池やら脇に眠りつ
 ・
こぬひととあはてまつよのしまかけはてそのたいけやらわきねふり

 ②私らは生きて問ひぬや夜明けまでの結果は舟の小窓に吊り
 ・わたしらはいきてとひぬやよあけまてのけつかはふねのこまとにつり

012
僧正遍昭

アナグラム


 あまつかせくものかよひしふきとちよおとめのすかたしはしととめむ

 ①風が吹き雨の音引く端暫し試す世と閉ぢ彼の文字淀む
 ・せかふきあめのおとひくつましはしためよととちかのもしとむ

 ②雲留め雨呼ぶ風の日が沈む違った音の牧場視しよと
 ・くもととめあめよふかせのひかしすむちかつたおとのまきはししよと

013
陽 成 院

アナグラム

 つくはねのみねよりおつるみなのかわこいそつもりてふちとなりぬる 

 舟降りて恋も実るよ若作り 寝ぬ地鶴見の隣ぞ夏場
 
ふねおりてこいもみのるよわかつくりねぬちつるみのとなりそなつ

 ②
折鶴の翅より乾く密なりぬ縁取る卑女の底で名も満つ
 
おりつるのはねよりかわくみつなりぬふちとるいみのそこてなもみつ           

014
河原左大臣

アナグラム

 
 みちのくのしのふもちつりたれゆゑにみたれそめにしわれならなくに

 ①句のみちに乱れし故の黙に痴れ並ぶ地刷りの染に吾無く
 ・くのみちにみたれしゆゑのもたにしれならふちすりのそめにわれなく

 ②誰ゆゑに振られ乱れし梔子の名のみ散初め沸くものに似つ
 ・たれゆゑにふられみたれしくちなしのなのみちりそめわくものににつ

015
中納言行平

アナグラム
 たちわかれいなはのやまのみねにあふるまつとしきかはいまかへりこむ

 ①立入れば姉川の名に踏み惑い 松伐る山の鹿ばかりへ混む
 ・たちいれはあねかわのなにふみまといまつきるやまのしかはかりへこむ

 ②花の山に集まる今の嶺へ来む別れ難しと一理は深き
 ・はなのやまにあつまるいまのみねへこむわかれかたしといちりはふかき

016
光孝天皇

アナグラム


 きみかためはるののにいててわかなつむわかころもてにゆきはふりつつ

 ①庭出でろ春のこの手に雪固めつ 吾が名吾が振り右手も包む
 ・にはいてろはるのこのてにゆきかためつわかなわかふりみきてもつつむ

 ②若者のために変る気吐いて泥む君が譲りて伝に転ぶは
 ・わかもののためにかわるきはいてなつむきみかゆつりてつてにころふは

017
在原業平

アナグラム

 ちはやふるかみよもきかすたつたかわからくれなゐにみすくくるとは

 ①苦楽とは泣かず駈る淵黄泉に発つ 夜半井水繰る別れ難きも
 ・くらくとはなかすかるふちよみにたつやはゐみすくるわかれかたきも

 ②膨れゐる早霞立つ最上川鴉啼く夜は北に散る毒
 ・ふくれゐるはやかすみたつもかみかわからすなくよはきたにちるとく

018
藤原敏行朝臣

アナグラム


 すみのえのきしによるなみよるさへやゆめのかよひしひとめよくらむ

 ①眩む目と霞みし目さへ灯の消える 夜に波寄るや冷ゆ夜の野路よ
 ・くらむめとかすみしめさへひのきえるよになみよるやひゆよののしよ

 ②村雨の駅に寄る人皆欲目夜の部屋隅秘し夜のゆかし
 ・むらさめのえきによるひとみなよくめよるのへやすみひしよのかゆし

019
伊  勢

アナグラム

 ☆なにわかたみしかきあしのふしのまもあはてこのよをすくしてよとや

 ①逢ふまでは長し過ぐ夜の短きや 四方に私の足とこの手を
 ・あふまてはなかしすくよのみしかきやよもにわたしのあしとこのてを

 ②甘柿は渋無しを以て好しと和す味のこの薬神の世に立て
 ・あまかきはしふなしをもてよしとわすあしのこのやくかみのよにたて

020
元良親王

アナグラム

 
 わひぬれはいまはたおなしなにはなるみをつくしてもあはむとそおもふ

 ①傷ましく哀れと想う侘を以て 睦みぬ尾花になぞる名は恥じ
 ・いたましくあはれとおもふわひをもてむつみぬおはなになそるなははし

 ②今はたと吾は思ひぬ罪無くに話を逸る手も青葉踏む無し
 ・いまはたとわれはおもひぬつみなくにはなしをそるてもあおはふむなし

021
素性法師

アナグラム


 いまこむといひしはかりになかつきのありあけのつきをまちいつるかな

 ①子飼なり虫は名付けをまいまいに 月明りの角光る基地跡
 ・こかいなりむしはなつけをまいまいにつきあかりのつのひかるきちあと

 ②夏祭熱き命を祈るまじと愛無き過去は陰りに向ひ
 ・なつまつりあつきいのちをいのるましとあいなきかこはかけりにむかひ

022
文屋康秀

アナグラム

 
 
ふくからにあきのくさきのしをるればむべやまかぜをあらしといふらむ

 ①吹き荒れし郁子の空風老い憎しと 古き野良焼く天をば去らむ
 
・ふきあれしむへのからかせをいにくしとふるきのらやくあまをはさらむ

 ②嵐山と峡を吹く風比ぶれば野辺の寒さに秋を知るらむ
 ・あらしやまとかいをふくかせくらふれはのへのさむきにあきをしるらむ

023
大江千里

アナグラム


 ☆つきみれはちちにものこそかなしけれわかみひとつのあきにはあらねと

 ①月あれば人混み千々に希望尽き 怪我にしものかは哀れならねど
 ・つきあれはひとこみちちにのそみつきけかにしものかはあわれならねと

 ②あの木戸は父に訣れの喪に明けしが秘密は練られ粗忽無き途
 ・あのときはちちにわかれのもにあけしかひみつはねられそこつなきみち

024

菅  家

アナグラム


 ☆このたひはぬさもとりあへすたむけやまもみしのにしきかみのまにまに

 ①此の真日の墓に手向けし紅葉霧に 喪のあと誦さぬ見(まみ)へた山に
 ・このまひのはかにたむけしもみしきりにものあとすさぬまみへたやまに

 ②旅に逢へず紅葉の里に来し民の間々に煙も吐かぬこの山
 ・たひにあへすもみしのさとにきしたみのままにけむりもはかぬこのやま

025
三条右大臣

アナグラム


 なにしおははおうさかやまのさねかつらひとにしられてくるよしもかな

 ①憎し仲も寝ながら盛る憂晴し 山大はづれ出し野一夜に
 ・
にくしなかもねなからさかるうさはらしやまおおはつれてしのひとよに

 ②山里の生活に覆はれ中々に熱呼び齧る憂さ晴らしても
 ・やまさとのくらしにおおはれなかなかにねつよひかしるうさはらしても

026
貞 信 公

アナグラム


 
おくらやまみねのもみしはこころあらはいまひとたひのみゆきまつたなむ

 ①濃い闇間沖間荒場の股旅の 紅葉見事な胸揺らぐ広場
 ・こいやみまおきまあらはのまたたひのもみしみことなむねゆらくひろは

027
中納言兼輔

アナグラム


 みかのはらわきてなかるるいつみかわいつみきとてかこいしかるらむ

 ①生きて見て神と替るる無為なるか 野原木枯し泉且つ湧き
 ・いきてみてかみとかわるるむいなるかのはらこからしいつみかつわき

028
源宗于朝臣

アナグラム


 
やまさとはふゆそさひしさまさりけるひとめもくさもかれぬとおもへは

 ①乙女さへ寂しぞ女も去りぬれば 春も狭山とも斯く舞ふ湯酒
 ・おとめさへさひしそひともさりぬれははるもさやまともかくまふゆさけ 

029
凡河内躬恒

アナグラム


 こころあてにおらはやおらむはつしものおきまとはせるしらきくのはな

 ①惑はせるお心置きなく摘む萩の 当やら折らば霜の柱に
 ・まとはせるおこころおきなくつむはきのあてやらおらはしものはしらに

030
壬生忠岑

アナグラム


 ありあけのつれなくみえしわかれよりあかつきはかりうきものはなし

 ①野は蜻蛉ばかり見えしよ喪の明けし 仮無き有なり荒れ継ぐ別れ
 ・
のはあきつはかりみえしよものあけしかりなきうなりあれつくわかれ

031
坂上是則

アナグラム


 
あさほらけありあけのつきとみるまてによしののさとにふれるしらゆき

 *能登淋し消ゆる虹跡尼寺の幟朝げに烟らる烈気よ
 ・のとさみしきゆるにしあとあまてら
ののほりあさけにけふらるれつきよ

032
春道列樹

アナグラム

 
 
やまかわにかせのかけたるしからみはなかれもあへぬもみしなりけり

 *和歌山の二里も駆けたり風剥がれ 馴染も逢へぬ波頭蹴る
 わかやまのにりもかけたりかせはかれなしみもあへぬなみかしらける

033
紀 友 則

アナグラム


 ☆ひさかたのひかりのとけきはるのひにしつこころなくはなのちるらむ

 *はるのひのたかさにこころひくかりのなつむきひけとはなのちるらし
 ・春の日の高さにこころ引く雁の なづむ気引けど花の散るらし

034
藤原興風

アナグラム


 
たれをかもしるひとにせむたかさこのまつもむかしのともならなくに

 *仕方無さ奈落に誰を求むるか 喪の待つ加護の非とも咽にし
 ・
しかたなさならくにたれをもとむるかものまつかこのひともむせに

035
紀 貫 之
 
アナグラム

 
 ひとはいさこころもしらすふるさとははなそむかしのかににほひける

 *故郷の妣は昔に匂いける 厭ひごころもさぞかしならず
 ・ふるさとのはははむかしににほひけるいとひこころもさそかしならす

036
清原深養父

アナグラム


 ☆なつのよはまたよいなからあけぬるをくものいつこにつきやとるらむ

 *蜘蛛の囲に抗い鳴ける夜をつるむ 未だ月寄らぬ夜話の常夏
 *くものいにあらかいなけるよをつるむまたつきよらぬやはのとこな

037
文屋 朝康

アナグラム


 しらつゆにかせのふきしくあきののはつらぬきとめぬたまそちりける

 *知らぬ地ぞときめき募る初雪の 福島辺り野良に風抜け
 ・しらぬちそときめきつのるはつゆきのふくしまあたりのらにかせぬけ 

038
右 近

アナグラム


 わすらるるみをはおもはすちかひてしひとのいのちのおしくもあるかな 

 *価値のあるも人は命を重く見し 数忘らるる負ひし名の果て
 かちのあるもひとはいのちをおもくみしかすわすらるるおひしなのはて

039
参 議 等

アナグラム

 
 あさしうのおののしのはらしのふれとあまりてなとかひとのこいしき

 *人の名は浅茅しのぶか小野まり子 相手同志の輝度罵られ
 ・ひとのなはあさししのふかおのまりこあいてとうしのきとのしられ

040
  

アナグラム


 
しのふれといろにてにけりわかこいはものやおもふとひとのとふまて

 *一人訪ふ恋の奴隷と想ふ野に 早やも野駈けに侘ぶ出城まで
 ・ひとりとふこいのとれいとおもふのにはやものかけにわふてしろまて

041
壬生忠見

アナグラム


 こいすてふわかなはまたきたちにけりひとしれすこそおもひそめしか

 恋捨てし不和が仲未だ逃げきれず 齢こそ二十歳想ひ潜めり
 ・
こいすてしふわかなかまたにけきれすとしこそはたちおもひひそめり

042
清原元輔

アナグラム


 ☆
ちきりきなかたみにそてをしほりつつすえのまつやまなみこさしとは

 *千切り絵に無き筒袖を絞りなす 浜松見たか都との時差
 ・ちkりえになき
つつそてをしほりなすはままつみたかみやことのしさ

043
権中納言敦忠

アナグラム


 ☆
あひみてののちのこころにくらぶればむかしはものをおもはさりけり

 *あの後も昔の頃を想ひ出に 子の母見れば部落去りけり
 ・
あののちもむかしのころをおもひてにこのははみればぶらくさりけり

044
中納言朝忠

アナグラム


 あふことのたえてしなくはなかなかにひとをもみをもうらみさらまし

 途を違ふ哀しみも増し恨み花 敢て座を解く模糊の倣ひに
 ・とをたかふかなしみもましうらみはなあえてさをとくもこのならひに

045
謙 徳 公

アナグラム


 ☆
あわれともいふへきひとはおもほえてみのいたつらになりぬへきかな
 

 *想いとは身の辺痛きに哀れなり 吠面かきぬふと非も並べて
 ・
おもいとはみのへいたきにあわれなりほえつらかきぬふとひもなへて

046
曽禰好忠

アナグラム


 ☆
ゆらのとをわたるふなひとかちをたえゆくへもしらぬこいのみちかな

 *ゆらゆらと渡る恋路を耐え忍ぶ 寡黙な道を伸びと経ぬ名か
 ・ゆらゆらとわたるこいちをたえしのふかもくなみちをのひとへぬなか

047
恵慶法師

アナグラム


 ☆
やえむくらしけれるやとのさひしきにひとこそみえねあきはきにけり
 
恵慶法師

 *病む激は一人暮らしの寂しきに 宿れる見栄ぞ姉に声聴け
 
やむけきはひとりくらしのさひしきにやとれるみえそあねにこえきけ

048
源 重 之

アナグラム


 ☆
かせをいたみいわうつなみのおのれのみくたけてものをおもふころかな 

 *衣打つ風を名のみの己見て 悼みを分け抱く重い訃の中
 
ころもうつかせをなのみのおのれみていたみをわけたくおもいふのなか

049 大中臣
能宣朝臣


アナグラム


 ☆
みかきもりえしのたくひのよるはもえひるはきえつつものをこそおもへ 
 

 *焚火燃え冷える春夜の曇りつつ 着物を穿かし声のみぞ思へ
 ・
たきひもえひえるはるよのくもりつつきものをはかしこえのみそおもへ

050
藤原義孝

アナグラム


 きみかためをしからさりしいのちさへなかくもかなとおもひけるかな

 *泣かる日ももがく命を知らざりし 大人が名さへ賭けたき女神
 ・なかるひももかくいのちをしらさりしおとなかなさへかけたきめかみ 
 



051

原実方朝臣

アナグラム


 ☆
かくとたにえやはいふきのさしもくささしもしらしなもゆるおもひを 原実方朝臣

 *金雀枝は斯くも刺草藪の木と 陽射し詰るも面差しを燃ゆ
 ・
えにしたはかくもいらくさやふのきとさしなしるもおもさしをもゆ

052

藤原道信朝臣

アナグラム


 ☆
あけぬれはくるるものとはしりなからなほうらめしきあさほらけかな

 暮るる橋明けぬ今朝とも抛り為し 諦めながら奈良の馬鹿惚れ
 
くるるはしあけぬけさともほうりなしあきらめなからならのはかほれ

053

右大将道綱母

アナグラム

 
 ☆
なけきつつひとりねるよのあくるまはいかにひさしきものとかはしる   

 *吊るし柿嘆く間友の来つ寝ざる 陽よ浴びる鳥俳歌に伸ばし
 ・
つるしかきなげくまとものきつねさるひよあひるとりはいかにのはし

 <遊びました>(鶴・鹿・熊・狐・猿・鵯・家鴨・烏賊・・・)が入ってます

054

儀同三司母

アナグラム


 ☆
わすれしのゆくすえまてはかたけれはけふをかきりのいのちともかな   

 *忘れじの今日を命の行末は 義理欠けたれば友が仲まで
 ・
わすれしのけふをいのちのゆくすえはきりかけたれはともかなかまて

055

大納言公任

アナグラム


 ☆
たきのねはたえてひさしくなりぬれとなこそなかれてなほきこえけれ 

 *得難き名寝て寂しけれ泣き濡れて 声細くなり辿れこの花
 ・
えかたきなねてさひしけれなきぬれてこえほそくなりたとれこのはな

056

和泉 式部

アナグラム


 ☆
あらさらむこのよのほかのおもひてにいまひとたひのあふこともかな 

 *想い出の恋の仄かよ窓に逢ひ 抗ふ度のごと些もならむ
 ・
おもひてのこいのほのかよまとにあひあらかふたひのことさもならむ

057
紫 式 部

アナグラム

 めくりあひてみしやそれともわかぬまにくもかくれにしやはのつきかな  

 *霙解く我が家はながに隠れ野に 待つも屋敷で巡り逢ひても
 ・
みそれとくわかやはなかにかくれしのにまつもやしきてめくりあひぬも

058
大弐 三位

アナグラム


 ☆
ありまやまゐののささはらかせふけはいてそよひとをわすれやはする  

 *袖拭けば流行病の参らざる 一夜の風邪は哀れさを誦す
 ・
そてふけははやりやまいのまゐらさるひとよのかせはあわれさをすす 

059
赤染衛門

アナグラム


 やすらはてねなましものをさよふけてかたふくまてのつきをみしかな  

 *月の原悲しみて世を捨てし間の 情けてふ間もかたぶく寝屋を
 つきのはらかなしみてよをすてしまのなさけてふまもかたふくねやを

060
小式部内侍

アナグラム


 ☆
おおえやまいくののみちのとおけれはまたふみもみすあまのはしたて
 

 *陸奥は尾上の窓の笈蹴れば 数多踏みたて押す間も病みし
 
みちのくはおのえのまとのおいけれはあまたふみたておすまもやみし

061
伊勢大輔

アナグラム


 いにしへのならのみやこのやえさくらけふここのえににほひぬるかな  

 *個々の声西へ流るや今日の冷え 名のみの桜匂い遣らぬに
 
ここのこえにしへなかるやけふのひえなのみのさくらにほいやらぬに

062
 清少納言

アナグラム


 ☆
よをこめてとりのそらねははかるともよにあふさかのせきはゆるさし

 *世は変る友に逢ふ夜を飾るとて そのノリ晒せきこしめゆ翅
 ・
よはかはるともにあふよをかさるとてそののりさらせきこしめゆはね

063
左京大夫道雅

アナグラム


 ☆
いまはたたおもひたえなむとはかりをひとつてならていふよしもかな
 

 *仲も良し人を想ひて只今は 無頼名ばかり途絶えなむ伝手
 ・
なかもよしひとをおもひてたたいまはふらいなはかりとたえなむつて

064
権中納言定頼
アナグラム


 ☆
あさほらけうしのかわきりたえたゑにあらはれわたるせせのあしろき
 

 *描きし絵の和に得た多岐の歌合せ 有らる白酒現われ乾せり
 ・かきしゑのわにえたたきのうたあはせあらるしろさけあらわれほせり

065
相 模

アナグラム


 ☆
うらみわひほさぬそてたにあるものをこいにくちなむなこそおしけれ

 恨みにも鬼こそ出さぬその恋を 詫びて朽ちある尚虚しけれ
 ・
うらみにもおにこそたさぬそのこいをわひてくちあるなほむなしけれ
 

066
前大僧正行尊

アナグラム


 ☆
もろともにあはれとおもへやまさくらはなよりほかにしるひともなし

 *もろともに何やら薫りよしなるも 朝日は雲と音へ晴れまじ
 ・もろともになにやら
かほりよしなるもあさひはくもとおとへはれまし

067  
周防内侍

アナグラム


 ☆
はるのよのゆめばかりなるたまくらにかひなくたたむなこそをしけれ

 *頑なに春夜の枕慣れ簸たし 夢を傾け名残の春ぞ
 ・かたくなにはるよのまくらなれひたしゆめをかたむけなこりのはるそ

068
三 条 院

アナグラム


 ☆
こころにもあらてうきよになからへはこいしかるへきやはのつきかな  

 *長き夜も逸るこころに打つ手無き 僻害の子等抗へば死に
 ・
なかきよもはやるこころにうつてなきへきかいのこらあらかへはしに

069
能因法師

アナグラム


 ☆
あらしふくみむろのやまのもみちははたつたのかわのにしきなりけり  

 畑並に山道辛く分け白む 野野の辺りは霧の模深し
 ・はたなみにやまみちつらくわけしろむのののあたりはきりのもふかし

070
良選法師

アナグラム


 ☆
さひしさにやとをたちいててなかむれはいつくもおなしあきのゆふくれ  

 膨れ来し夏雲優し鮎を追いて 久の訪い果て流れに立ちむ
 ・ふくれきしなつくもやさしあゆをおいてひさのといはてなかれにたちむ

071
大納言経信

アナグラム


 ☆
ゆふされはかとたのいなはおとつれてあしのまろやにあきかせそふく 

 *冬ざれの真白き館波止に落つ 風の訪いなば荒れて泡吹くぞ
 
ふゆされのましろきやかたはとにおつかせのといなはあれてあふくそ

072
祐子内親
王家紀伊


アナグラム


 ☆
おとにきくたかしのはまのあたなみはかけしやそてのぬれもこそすれ  

 *二の館男浜駈け明日みな そして濡れもす園野菊晴
 ・
にのやかたおとこはまかけあしたみなそしてぬれもすそののきくはれ

073 前権中納
言 匡房


アナグラム


 ☆
たかさこのをのえのさくらさきにけりとやまのかすみたたすもあらな
  

 *山越えの酒田の港をきらり射す 明けの桜に佇む者か
 ・
やまこえのさかたのみなとをきらりさすあけのさくらにたたすむものか

074
源俊頼朝臣

アナグラム


 ☆
うかりけるひとをはつせのやまおろしよはげしかれとはいのらぬものを
 

 日和憂いやませの欠片凍れ解けば 春野の門を城をも落つぬ
 
ひよりういやませのかけらしはれとけははるののかとをしろをもおつぬ

075
藤原 基俊

アナグラム


 ☆
ちきりおきしさせもかつゆをいのちにてあはれことしのあきもいぬめり
 

 *朝露に風戻り来て去ぬ後は 生きしをこの秋散目も折れし
 ・
あさつゆにかせもとりきていぬのちはいきしをこのあきちりめもおれし

076
法性寺入道前
関白太政大臣


アナグラム


 ☆
たのはらこきいててみれはひさかたのくもいにまかふおきつしらなみ

 *木枯しに波も切れ立て久の雷 海神の沖は吐く凍て紛ふ

 ・こからしになみもきれたてひさのらい
たつみのおきははくいまかふ

077
崇 徳 院

アナグラム


 
せをはやみいわにせかるるたきかわのわれてもすえにあはむとそおもふ

  *母痩せて笑む庭椅子に別るるも 枷を着た身の哀れとぞ思ふ
 ・
ははやせてえむにわいすにわかるるもかせをきたみのあわれとそおもふ

078

源 兼 昌

アナグラム


 あわししまかよふちとりのなくこえにいくよねさめぬすまのせきもり  

 *声透く夜鴨めき沼の幾周り 朝寝せし夜の淵となりにし
 ・こえすくよかもめきぬまのいくまわりあさねせしよのふちとなりにし

079
左京大夫顕輔

アナグラム


 ☆
あきかせにたなひくくものたえまよりもれいつるつきのかけのさやけさ

 *雲ぐ永の迷いの自棄酒も 絶えつ秋風に鶴の来たれり
 
くもひさくなかのまよいのやけさけもたえつあきかせにつるのきたれり

080
待賢門院堀河

アナグラム


 なかからむこころもしらすくろかみのみたれてけさはものをこそおもへ

 *中村も三上も心して思へ 黒酢の酒こそ謀られた斧
 
なかむらもみかみもこころしておもへくろすのさけこそはかられたをの

081
後徳大寺左大臣

アナグラム


 ☆
ほとときすなきつるかたをなかむれはたたありあけのつきそのこれる 

 *泣かる時明日無き月の蝸牛 あれは其の子を祟れる仏
 ・
なかるときあすなきつきのかたつむりあれはそのこをたたれるほとけ

082
道因 法師

アナグラム


 ☆
おもひわひさてもいのちはあるものをうきにたへぬはなみたなりけり

 *思ひては侘も命の憂きにある 涙を絶えぬ花も去りけり
 ・おもひてはわひもいのちのうきにあるなみたをたへぬはなもさりけり

083 皇太后宮
大夫俊成


アナグラム


 ☆
よのなかよみちこそなけれおもひいるやまのおくにもしかそなくなる
 皇太后宮大夫俊成

 *夜な夜なの謎隠し置くやま掛けも 媚入る者に尚逸れる道
 ・よ
なよなのなそかくしおくやまかけもこひいるものになおそれるみち

084

藤原清輔朝臣

アナグラム


 ☆
なからへはまたこのころやしのはれむうしとみしよそいまはこいしき
 

 *晴止まむ亦の心の恋しきと 永らへば美し愛い世ぞ沁みし
 ・はれやまむまたのこころのこいしきとなからへははしういよそしみし



085

俊恵 法師

アナグラム


 ☆
よもすからものおもふころはあけやらてねやのひまさへつれなかりけり

 *鴉鳴け寺の屋根よりお日様へ 早駈け森の影も縺れ合う頃
 ・からすなけてらのやねよりおひさまへはやかけもりのかけももつれあふころ

086
西行 法師

アナグラム


 ☆
なげけとてつきやはものをおもうはするかこちかおなるわがなみたかな
 

 *若ノ浪は親名を張るも相撲とて 尚勝ち焦がる突き・投げ賭けた
 ・わか
のなみはおやなをはるもすもうとてなおかちこかるつきなげかけた

087

寂蓮法師

アナグラム


 ☆
むらさめのつゆもまたひぬまきのはにきりたちのほるあきのゆふくれ

 雪も又冷めぬる灯点く霧の野の晴たまゆらの墓地に向き合ふ
 ・ゆきもまたさめぬるひつくきりのののはれたまゆらのほちにむきあふ
 *露も又霧に日昇る邑牧場 野の地定めぬ秋の夕暮れ
 ・つゆもまたきりにひのほるむらまきはののちさためぬあきのゆふく

088
皇嘉門院別当

アナグラム


 ☆
なにはえのあしのかりねのひとよゆえみをつくしてやこひわたるべき
 

 *一人寝のあしなへの身を横たえる 初雪の屋に楓侘しく
 ・
ひとりねのあしなへのみをよこたえるはつゆきのやにかえてわひしく

089
式子内親王

アナグラム


 ☆
たまのおよたへなはたへねなからへはしのふることのよわりもそする
  

 *寝ながらも恥じる言葉の絶えた夜へ その名へ賜う終りの寄する
 ・
ねなからもはしることはのたへたよへそのなへたまふおわりのよする

090

殷富門院大輔


アナグラム


 ☆
みせはやなおしまのあまのそてたにもぬれにそぬれしいろはかはらし
 

 *早瀬波蘆の間に濡れ袖も濡れ 偶に空色叔父の墓美し
 ・はやせなみあしのまにぬれそてもぬれたまにそらいろおしのはしはか

091
後京極摂政
前太政大臣


アナグラム

 きりぎりすなくやしもよのさむしろにころもかたしきひとりかもねむ

 *迅き夜霧炉火燃やし寝む肩寒し 雁鳴く頃も野に百舌しきり
 
・ときよきりろひもやしねむかたさむしかりなくころものにもすしきりくころものにもすしきり

092
二条院讃岐

アナグラム


 ☆
わかそてはしおひにみえぬおきのいしのひとこそしらねかわくまもなし

 *その顔に声嗄らしいぬはおぞましき 侘しも侘し刀禰の身で泣く
 
そのかおにこえからしいぬはおそましきわひしもわひしとねのみてなく

093
鎌倉右大臣

アナグラム


 ☆
よのなかはつねにもかもななきさこくあまのこふねのつなてかなしも

 *夏寝の夜永きに付くな儚さも 明石の駒の名もて小舟も
 ・
なつねのよなかきにつくなはかなさもあかしのこまのなもてこふねも

094
参議雅経

アナグラム


 ☆
みよしののやまのあきかせさよふけてふるさとさむくころもうつなり

 *故郷の山風嬲り秋寒く 夜々の酒持て丑三ツの頃
 ・ふるさとのやまかせなふりあきさむくよよのさけもてうしみつのころ

095
前大僧正慈円


アナグラム


 ☆
おほけなくうきよのたみにおほふかなわかたつそまにすみそめのそて

 *見初めたに叶ふ間無きぞ憂く木瓜の 世捨ての撓み大坪に楚歌
 ・みそめたにかなふまなきそうくほけのよすてのたわみおおつほにそか

096 入道前
太政大臣


アナグラム


 ☆
はなさそふあらしのにわのゆきならてふりゆくものはわかみなりけり

 *荒らぶ波古りゆく庭の名ばかりは その雪分けて習志野も去り
 ・
あらふなみふりゆくにわのなはかりはそのゆきわけてならしのもさり

097
権中納言定家

アナグラム


 ☆
こぬひとをまつほのうらのゆふなきにやくやもみもこかれつつ

 *綴れ過去恋に身を焼く松浦の 主の遠きや船の炎ゆ帆も
 ・つつれかここひにみをやくまつうらのぬ
しのとおきやふなのもゆほも

098
従二位家隆

アナグラム


 ☆
かせそよくならのおかわのゆうくれはみそきそなつのしるしなりける

 *嬉しなる夏の河原のそよぐ風 猶走り逝く禊退けるぞ
 ・
うれしなるなつのかわらのそよくかせなおはしりゆくみそきのけるそ

099  
後鳥羽院

アナグラム


 ☆
ひともをしひともうらめしちきなくよをおもふゆゑにものおもふみは

 *冬海も人無き人を知らしめよ 絵も持ち想ふ重荷を除くは
 ・ふゆうみもひとなきひとをしらしめよゑももちおもふおもにをのくは

100

順徳院

アナグラム


 ☆
ももしきやふるきのきはのしのふにもなほあまりあるむかしなりけり

 *桃の花仄かに如きや古き木の 余りある自負詩も無なりけり
 ・
もものはなほのかにしきやふるききのあまりあるしふしもむなりけり


自選 句集 面白 俳句 段 駄 羅 俳 聖 講 古木の妙 駄羅駄羅句 故郷 紀行 石巻 点描