段々長く 絵回文 気紛回文 漫画回文 野球迷鑑パ たいこめセ 詩歌回文 5600字超 Rondon五輪 阿部内閣 万国旗 県花県名
本歌とりと類似句

      【一般的でない本歌とり】

     *獺祭忌明治は遠くなりにけり  (志賀 芥子)→先出

     *降る雪や明治は遠くなりにけり (中村草田男)→後出      <日本大歳時記参照>

      上記の句は季語が違うだけで他は全く同じ句である。これを「本歌取り」と言うそうだ。
    しかし我々がそれを真似てやったとしても類似句又は擬似句として却下されるのは間違いない。
    草田男氏に言わせれば「獺祭忌」の季語は動く「降る雪」が動かぬ季語なのだそうな。

    力のある者には著作権で争っても勝ち目はないにしても、誰ひとりこのごり押しに逆ら
    えなかった
ものだろうか。 

    私も本歌取りを真似てみた。    *降る雪やめいじ(明治)は遠くなりにけり  (草田男)
                     *降る雪やいじめ(苛め)は遠くなるにけり  (呆 人)


       然し、多くの場合本歌盗りなど認められることはない。擬似句・類似句として葬られるのが
     一般的であろう。
           *空蝉の水より迅く流れけり <月二郎>
           *蝉がらの水よりはやく流れけり <>  これも「日本大歳時記」からの引用

   だが、「空蝉」も「蝉がら」も同義語だから、本歌盗りと言うより全く同じ句として見る他ない。
   前出の句がどちらか判らないが、前出、後出を云々するより、夫々が独自に詠んだ句が同じ表現だったと
   見るのが妥当かと思われる。だから類似句ではあるが、擬似句ではないし、夫々独立した句として歳時記の
   例句に掲載されたものと解釈できる。

  【類似句と擬似句】
  類似句とは「似ている句」であり、擬似句とは「真似た句」である。類似句は掲出の「空蝉・蝉がらの句」の
  ように無意識のうちに複数の詠み人の句が類似するものだから、詠者の罪ではない。擬似句は本歌盗りが許さ
  れると錯覚した詠者が意識的に行うもので、あってはならない行為なのだ。

        *秋深き隣は何をする人ぞ   芭蕉
        *秋深し隣に旅の赤子泣く   鬼房

  この二句は似て非なるものとして独立しているが、鬼房氏が「芭蕉の句を真似たのでは無い」と先手を打って
  弁じていたのが残念である。「真似たのではない」と強調されれば芭蕉の句を念頭において詠んだ句なんだと
  納得せざるを得なくなる。近代(現代)俳句を統ぶる金子兜太氏・中村草田男氏らと共に昭和の俳句界を率い
  る役割を担った巨匠が、自らの名句に水をさしたような気がしてならない。
  類似句・擬似句については「〇〇芭蕉祭俳句大会」でも屡見られ特選句に再登場する光景が見られた。

  《松島芭蕉祭35年史参照》 <特選句の類似句から>

   *かがやきて冬はヨットの白さで来る 白穂   S 39年
   *冬波のかがやき白いヨット来る  英子    S 40年 (一瞬アナグラム句と見紛う句)


   *
しぐれ忌の水中深く海苔育つ   真木子   S 53
   *時雨忌の水中深く牡蠣眠る    不 明        (H02年に擬似句として抹消された)

   *時雨忌をしぐれて島の仏たち    彌 超  S 59年 
   *時雨忌を時雨れて島の痩せ仏    不 明       (H02年に擬似句として抹消された)

   他にも特選からの類似句や自己申告で抹消された句は多々あるのだが、抹消されて記憶にもないので
   省略する。平成初期に俳句から離れ、遊びの俳句・回文などをやりだしたため、松島芭蕉祭とも縁が
   切れてしまった。瑞巌寺の屏風に特選句の短冊を一句掲げられた事が慰めでもあった。


        *台風の目の中にゐて鶴を折る  彌超 

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季語に入れたい素晴らしい情景

 

【水五訓】黒田如水(黒田官兵衛)と回文

 
  1つ 「自ら活動して他を動かしむるは水なり」
  1つ 「常に己の進路を求めて止まざるは水なり」
  1つ 「障害にあい激しく其の勢力を百倍し得るは水なり」
  1つ 「自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せて容るるの量あるは水なり」
  1つ 「洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と
     変じ霞と化して凝っては玲瓏たる鏡となり而も其性を失はざるは水なり」

  この表現は何処と無く「回文の理念」に繋がるものがある。「水」を「回文」の
  字に置き換えて見ると良く判る。

  *自ら活動して他を動かしむるは回文なり
  *常に己の進路を求めて止まざるは回文なり
  *障害にあい激しく其の勢力を百倍し得るは回文なり
  *自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せて容るるの量あるは回文なり
  *洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と
   変じ霞と化して凝っては玲瓏たる鏡となり而も其性を失はざるは回文なり

   とりわけ「清濁併せて容るるの量あるは回文なり」は正に的を射ている。

   ”なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな”

  この有名な回文(宝船)も

   ・ながきよのとおのねぶりのみなめざめなみのりふねのおとのよきかな
   *長き夜の 遠の眠りの みな目覚め 波乗り舟の 音のよきかな  と

  清濁併せ持つ名作である。元々回文の決まりは清濁混用でいいと暗黙の中で決め
  られた規則で出来ていたようだ。従って「清音だけで作らなければならない」
  或いは「前後の清濁を同じに返さなければならない」との決まりはないようだ。
  むしろ正確に返す為に文章に違和感が生れないように濁音や拗音など許容範囲の
  中で利用してこそ、スムーズな含蓄を生み出す事が出来よう。
  特に長回文などを作る場合、清濁混用を無視しては一貫した筋書きの回文は望めない。

  仙台庵が詠んだ回文に次のような歌があるのはご存知でしょう。

    ”みなくさのなははくとしれくすりなりすれしとくははなのさくなみ”
     みな草の名は百と知れ薬なり優れし徳は花の作並

  この歌も「しれ
すりなりすれし」と「く・ぐ」が清濁となる。それは先ほど述べたので
  ここは「百→はく」について書いてみます。浅学なので「はく」は数で言うなら九十九だと
  思っていた。それは「白寿」からの認識である。100
(百)一1(一)=99(白)なんだと
  ずっと思ってました。然し今日改めて漢和辞典を見て「はく」の意味を知った。
  <百>*一と白を合わせた字、白は人に言うことで、数が百より多くなると人に告げる事が出来る
   ので、百の数を白(はく)と言ったとある。転じて百と書いて
 ”はく” と読んでもいいらしい。
   何となくこじ付けの感はあるものの、これも当時の文化なのかなとしぶしぶ認めた次第。
   自分としては同じこじ付けでも100
(百)(一)=99(白)の方がしっくりくる。
  これからも。「
・垚寿(七十七)・寿(八十)・米寿(八十八)・卆寿(九十)・白寿(九十九)
   ・
百寿(百)の故事を基準に回文を楽しもうと思う。

  もう一つ厄介なのが、「音引き(―)」の扱いである。

  清濁の混用を気にして作る回文で、このような回文を目にすることがある。

  *くるまかいまいかまるく(車赤いマイカー丸く

  これは「かいマイカ」と音引き「ー」を韻文重視で処理しているのだが、これは如何なものか。

  ・わたしまいかーかいましたわ   ・わたしまいかーどすぐにとるとにぐすとーかいましたわ
   「私マイカー買いましたわ」    「私マイカード直ぐに盗ると逃ぐストーカいましたわ」

  せめてこんな感じで使って戴く方が宜しいかと思います。

 【纏め】

  ① 清濁分別  清濁混用 

  *さいけんかんけいさ*

  「(正)再建関係さ(混)再現歓迎さ」「(正)財源歓迎座 (混)財源関係さ」

  *かんしゃしたしゃしんか*

  「(正)感謝した写真家 完写した写真家 (混)癌じゃ舌じゃ腎か 間者した邪心か

  ②音引き

  *峠のゲート      ×とうげのげーと   とーげのげーと

  *道路はロード     ×どうろはろーど   どーろはろーど

  *マイカーどうかいま  ×マイカーどうか今  マイカーどーか今

  *ねぇいももいいね   ×ねー芋もいいね   ねー芋もいーね
        (この場合は「ねぇいももいいね」だが音引き使用で問題解決です)

  韻律重視で変換するならば、「あぁ・いぃ。うぅ・えぇ・おぇ(カ行以下全て摘要)」は

  「あー」「いー」「うー」「えー」「おー」で足りるし、伸ばす音は全て適用できます。

  但し、どちらか一方だけに音引きを使う事は避けましょう。そうしないと次のようは不具合が
  生じます。

  【例】・カ  ・かいカ ・カか 等はどれも正しくありません。

     「こうこうせいせいこうご」→「 高校生成功後」 これは一寸見には回文に見えますが、
     仮名書きの方は間違っています。でも音引きを使い「こーこーせーせーこーご」とすれば
     立派な回文となりますね。このように「―(音引)」はトランプのジョーカーのような魔力を
     もった切り札なのです。
                           【以上(みみずのたわごと)でした】


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